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2007年6月27日 (水)

東京DC特区構想について

 東京都の副知事に作家の猪瀬直樹さんが就任することになったので、今回は猪瀬さんの持論であった「東京DC特区構想」について私の現時点での考えを述べてみたいと思います。
 そもそも「東京DC特区構想」とは、東京都の中心部を国直轄としその税収を地方に分配しようという案です。アメリカの首都、ワシントンDCをイメージし、千代田、中央、港、品川、新宿、江東など、おおむね12区にわたる人口約300万人の地域が該当します。猪瀬さんの試算だと、特区内の地方税収は3・3兆円(2004年度決算ベース)で、地方税収全体の約1割を占めるそうです。特に、法人2税は1・5兆円で、全自治体の2割を超えるそうです。自治体の税収格差の是正が狙いで、大企業が多く法人関係税が集中する特区の税収を、財政の苦しい地方の自治体に回すとしています。猪瀬さんは「東京は、自己努力の結果ではない税収が入り、独り勝ちしている」と指摘しています。
 これに対して、世論はおおむね二つに分かれていると考えられます。地方の自己努力がなくなるのではないかという指摘によってこの案に反対する立場と、地方が金をかけて育ててきた人材が東京に流れ東京で税金を納めている事実があるのだから、地方にその益を還元するためにもいいのではないかと賛成する立場であります。
 私はどっちも理があり、またどっちも理が不足している気がします。私は東京のエゴイズムと地方のエゴイズムがぶつかり合う構造、あるいは東京の問題点と地方の問題点がぶつかりあう構造が問題だと考えます。東京と地方との地域間格差は地方自治体どうしの問題ではなくナショナルミニマムがあまりにも「ミニマム」であることの弊害なのではないでしょうか?すなわち最大公約数の「ミニマム」でなく、最小公約数(?)の「ミニマム」であるからではないかと考えています。国-都道府県-区市町村という三層構造における、それぞれのエリア内での「ミニマム」に対するコンセンサス、そしてその対極にある「特色」の拡大あるいは「特殊性」への対応のバランスが崩れているということではないかと考えます。そしてその対応を単に税収が高いからと特区内の住民や企業に押し付けるのではなく、まずは国策として「地域アイデンティティ」の確立に傾注したほうがいいのではないかと考えます。また、地方自治体や地方議会というのは国会や国の政策に比べてあまり興味をもたれていません・・・これ(すなわち地方への興味関心の拡大)を改善していけば各地方に活気が出てくるのではないかと考えています。
 また私は、東京と地方の格差が拡大した背景には「交通網の整備」があると考えられます。飛行機や新幹線、高速道路網の普及発達により、地方と東京との距離が近くなりました。それによって物理的距離だけでなく精神的距離も近くなりました。それゆえ、東京への一極集中がさらに高まったと考えられます。また、地方でもターミナルには情報や人や文化が集まるようになりましたが、通過点となってしまった地域(かつては要所であっても)は衰退を余儀なくされていると聞きます。「交通の要所」となるかならないかでその地域の未来が変わってしまう・・・経済の発展や利便性の拡大の反面、そうした反作用も生まれてしまっていると感じられます。
 さらに、どこでも語られていないですが、この「東京DC特区構想」を実現することによって、地方に対する東京の影響力が増大するのではないかと考えます。特区のおかげで地方が成り立っているとしたら、力関係も発生するのではないかと思います。
 なお余談ですが、ワシントンDCの“DC”は、“The District of Columbia”(コロンビア特別区)の略で、南アメリカのコロンビア共和国と同様にアメリカ大陸の「発見」者クリストファー・コロンブスにちなんだ名称だそうです。「東京DC」と言う名称はチョットどうかな?・・・と思います。

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